iPhoneを操作しているとき、本体が熱を帯びて心配になった経験はありませんか? 特にゲームや動画視聴中だけでなく、「何もしていないのに熱い」と感じることもあるでしょう。
iPhoneが熱くなるのは、内部の電子部品が活発に動作している証拠ですが、過度な発熱はパフォーマンスの低下やバッテリーの劣化を招く可能性があります。ここでは、その原因と具体的な対処法、そして熱いまま放置した場合のリスクについて解説します。
iPhoneが熱くなる3つの主な原因
iPhoneが発熱する原因は、主に以下の3つのカテゴリーに分けられます。
高負荷なアプリや機能の使用
iPhoneの心臓部であるCPU(中央演算処理装置)は、負荷がかかると熱を発生させます。
- グラフィック処理が重いアプリ: 3Dグラフィックを多用する最新のゲームアプリや、長時間の動画撮影は、CPUやGPUに大きな負荷をかけます。
- ながら充電: 充電中はバッテリーが熱を持ちます。その状態でゲームや動画視聴をすると、充電と放電が同時に行われ、バッテリーとCPUの両方に負荷がかかり、発熱が加速します。
- 複数のアプリの同時起動: バックグラウンドで多くのアプリが動作していると、CPUが常に働き続けるため、発熱しやすくなります。
周囲の環境と物理的な要因
iPhoneは精密機器であり、最適な動作温度が定められています。
- 高温の環境: 直射日光が当たる場所や、夏場の車内など、周囲の温度が高い場所ではiPhone本体も熱を吸収し、放熱が妨げられます。Appleの公式情報によると、iPhoneの最適な動作温度は**0℃〜35℃**です。
- 放熱を妨げるケース: 厚みのあるケースや特定の素材のケースは、iPhoneからの熱の放出を妨げ、熱がこもりやすくなります。
- 非純正の充電器・ケーブル: 規格に合わない安価な充電器やケーブルは、過剰な電流や電圧を流す可能性があり、発熱の原因となることがあります。
「何もしていないのに熱い」ソフトウェア的な原因
iPhoneを操作していないのに熱くなる場合は、見えないところでソフトウェアが動いていることが原因です。
- iOSアップデート直後: iOSのアップデート後、iPhoneは内部でファイルの再インデックス化やアプリの最適化といったバックグラウンド処理を数日間にわたって行います。これは通常の発熱であり、落ち着けば解消されます。
- バックグラウンド更新: アプリのバックグラウンド更新や、位置情報サービスを常にオンにしていると、iPhoneは待機状態でも常にデータをやり取りし続けるため、熱が発生します。
- ソフトウェアの不具合: OSやアプリのバージョンが古いと、動作が最適化されておらず、無駄な処理が発生して発熱につながることがあります。
- バッテリーの劣化: バッテリーが劣化すると内部抵抗が増加し、充電・放電時に通常よりも多くの熱を発生させるようになります。
iPhoneの熱を下げる即効性のある対処法
iPhoneが熱いと感じたときに、すぐに試せる対処法を3つご紹介します。
- 高負荷な作業を中断する: ゲームや動画視聴、重いアプリの使用をいったんやめて、iPhoneを休ませましょう。
- ケースを外す: ケースを外すことで、iPhone本体から効率的に熱を放出できます。
- 涼しい場所に移動させる: 直射日光を避け、エアコンの効いた部屋など、風通しの良い涼しい場所にiPhoneを置きましょう。
【絶対にやってはいけないNG行為】
- 冷蔵庫や冷凍庫に入れる: 急激な温度変化は、iPhone内部に結露を発生させ、水没と同じ状態になり故障の原因となります。
- 保冷剤や氷を直接当てる: 同様に、急激な冷却は結露を招き、内部の基板やバッテリーに深刻なダメージを与える可能性があります。
今後の発熱を防ぐための予防策
発熱を繰り返さないためには、普段からできる対策も重要です。
- バックグラウンド更新をオフにする: 「設定」>「一般」>「Appのバックグラウンド更新」から、不要なアプリの更新をオフにしましょう。
- ストレージを整理する: ストレージの空き容量が少なくなると、システムが不安定になり、発熱の原因となることがあります。不要な写真や動画、アプリを削除しましょう。
- 「最適化されたバッテリー充電」をオンにする: この機能をオンにすると、iPhoneがユーザーの充電習慣を学習し、満充電になる直前まで80%で充電を保留します。これにより、バッテリーへの負荷が軽減され、劣化を防ぐことができます。「設定」>「バッテリー」>「バッテリーの状態と充電」から設定可能です。
熱いまま放置するとどうなる?3つの危険性
「少し熱いだけ」と放置してしまうと、以下のようなリスクが発生します。
- パフォーマンスの低下: iPhoneには「サーマルスロットリング」という保護機能が備わっています。これは、本体が一定以上の温度に達すると、CPUやGPUの性能を意図的に制限し、それ以上熱を持たないようにする仕組みです。結果として、ゲームのフレームレートが低下したり、操作に遅延が発生したりします。
- バッテリーの劣化と寿命低下: 高温はバッテリーにとって最大の敵です。熱い状態が続くと、バッテリー内部の化学反応が促進され、劣化が急速に進みます。これにより、最大容量が減少し、バッテリーの持ちが悪くなります。
- 本体の損傷と安全上のリスク: 最も深刻なケースでは、熱によってバッテリーが膨張し、内部の基板やディスプレイを押し上げてしまうことがあります。さらに、最悪の場合は、発火や爆発といった重大な事故につながる可能性もゼロではありません。
結論
iPhoneの発熱は、日々の使い方や環境によって起こり得る自然な現象です。しかし、熱い状態を放置すると、iPhoneの寿命を縮め、予期せぬトラブルにつながる可能性があります。
もしiPhoneが熱いと感じたら、まずは「休ませる」ことを第一に考え、日頃から「ケースを外して充電する」「最適化されたバッテリー充電を利用する」といった対策を心がけましょう。もし発熱が頻繁に起こる、またはバッテリーの持ちが極端に悪いと感じる場合は、専門家であるスマホ修理店にご相談いただくことをお勧めします。