スマホを充電しながら操作する習慣、ありませんか?ゲームや動画視聴など、ついついやってしまいがちですが、「バッテリーに悪い」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。
今回は、iPhoneを充電したまま使うことのデメリットと、その裏でiPhoneがどのように動いているのかを、バッテリーの専門家として分かりやすく解説します。
充電しながら使うことの3つのデメリット
結論から言うと、iPhoneを充電しながら使うことは、バッテリーの寿命を確実に縮めます。その主な原因は「熱」と「バッテリーへの負荷」にあります。
熱の発生とバッテリーの劣化
iPhoneのバッテリーに使われているリチウムイオンバッテリーは、熱に非常に弱い性質を持っています。充電中はバッテリーそのものが発熱しますが、同時にCPUやGPUを酷使するゲームや動画視聴を行うと、さらに本体温度が上昇します。
この**「熱の二重苦」**が、バッテリーの劣化を急激に進める最大の原因です。バッテリーが高温にさらされる時間が長くなるほど、内部の化学反応が不安定になり、バッテリー容量が不可逆的に減少します。
パフォーマンスの低下(サーマルスロットリング)
「充電しながらゲームをしていたら、急に動作が重くなった」という経験はありませんか?これは、iPhoneが自ら熱を抑えようとする**「サーマルスロットリング」**という現象が原因です。
iPhoneは、内部の温度が一定のしきい値を超えると、CPU(中央演算処理装置)やGPU(グラフィック処理装置)のパフォーマンスを意図的に下げて発熱を抑えようとします。これは、本体の損傷を防ぐための安全機能ですが、結果としてアプリの起動が遅くなったり、動作がカクついたりする原因となります。
つまり、熱を持ったまま使い続けると、iPhone本来の性能を発揮できなくなるのです。
バッテリーの膨張リスク
熱による劣化が進むと、バッテリー内部にガスが発生し、バッテリーそのものが膨張する可能性があります。バッテリーが膨張すると、液晶画面を押し上げたり、本体を歪ませたりすることがあります。
最悪の場合、画面が割れたり、内部の部品が破損したりするリスクも。これは単なるバッテリーの問題ではなく、修理費用がかかる深刻な事態に発展することもあります。
「バッテリーへの負荷」の誤解と、iPhoneの賢い仕組み
「充電しながら使うと、バッテリーに充電と放電が同時に行われて負担がかかる」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは一般的なモバイルバッテリーなどによく見られる「パススルー充電」の仕組みですが、iPhoneは少し違います。
実は、iPhoneは充電器からの電力を直接使用するように設計されています。iPhoneの消費電力が充電器の供給電力を下回る場合、バッテリーを迂回して直接動作するため、バッテリーへの負担は最小限に抑えられます。
しかし、消費電力が供給電力を上回る場合(例えば高負荷なゲームをしている時)、不足分はバッテリーから供給されます。このとき、わずかに充電と放電が同時に行われることになります。
つまり、iPhoneは賢い仕組みでバッテリーを保護しようとしていますが、それでも高負荷な使用はバッテリーを酷使することになる、と理解してください。
Appleが提供するバッテリー保護機能
Appleも、こうした問題を認識し、iOSでさまざまな対策を講じています。
- バッテリー充電の最適化: ユーザーの充電習慣を学習し、80%まで充電した後、使用する直前までフル充電を保留します。これにより、バッテリーが100%の状態で高温にさらされる時間を減らし、劣化を抑えます。
- 高温時の充電制御: バッテリーの温度が上昇すると、充電電流を自動的に減少させることで、過度な発熱を防ぎます。
これらの機能は、充電中のバッテリーへの負荷を軽減してくれますが、根本的な解決策ではありません。ユーザー自身が使い方を意識することが最も重要です。
まとめ:iPhoneのバッテリーを長持ちさせる正しい使い方
iPhoneを充電しながら使用することは、本体の発熱を加速させ、バッテリーの劣化を早める大きな原因です。特に、高負荷なゲームやアプリは、パフォーマンス低下のリスクを高めます。
iPhoneを長く快適に使うためには、以下の点を心がけましょう。
- 充電中はできるだけ操作しない
- どうしても使う必要がある場合は、画面の明るさを下げる、使わないアプリを閉じるなどして、負荷を減らす
- 高温の場所(夏の車内など)での充電は避ける
iPhoneのバッテリーは消耗品ですが、使い方次第で寿命を大きく延ばすことができます。正しい知識を持って、日々のiPhone利用を見直してみましょう。
何かご不明な点があれば、お気軽に当店にご相談ください。